2021年版、サイバーセキュリティの仕事に最適な都市

サイバーセキュリティ関連の仕事をするのに最適な都市とは?

サイバー攻撃が増加する中、サイバーセキュリティ関連の仕事は世界中で需要が高く、求人数は今後も増えていくことが予想されます。私たちは、シンガポールからアテネまでデータを分析して、サイバーセキュリティ分野でキャリアを積むのに最適な都市を洗い出しました。サイバーセキュリティ関連の仕事に就くことを検討している人たちのために、2021年に移住を検討すべき都市を紹介します。

サイバーセキュリティは成長し続けている分野です。世界のテクノロジーへの依存度は日に日に高まっており、その結果、私たちのデジタルセキュリティはこれまで以上に重要になっています。

この分野は成長を続けているため、サイバーセキュリティの仕事は需要が高く、実際、イギリスではサイバーセキュリティ業界だけで約5万人の従業員が働いています。しかし、この分野では、いまだにスキルを持った人材が不足しています。世界の情報セキュリティ人材の統計によると、イギリスでは2022年までに約10万人のサイバーセキュリティ職の求人が出ると予想されています。

幸いなことに、適切なスキルを持っていれば、企業から求められます。

今ではどの都市にもテックハブがありますが、サイバーセキュリティ分野でのキャリアを目指すなら、より優れている都市があるようです。では、どの都市が優れているのでしょうか?また、どのようなスキルが最も求められているのでしょうか?

その問いに答えるために、Techshielderは、平均給与、求人状況、生活費などの指標を分析し、サイバーセキュリティ専門家にとって最も住みやすい都市をまとめました。

サイバーセキュリティ関連の仕事をするのに最適な都市は米国のワシントンD.C.

ワシントンD.C.は、多くのサイバーセキュリティ専門家を雇用している政府機関の本部があるため、多くの人にとってはあまり驚くことではないかもしれませんが、トップにランクインしています。 

サイバーセキュリティ関連の仕事に就くために最も適した場所ランキングで、総合スコア17.58ポイントを獲得したワシントンD.C.は、サイバーセキュリティ分野で働きたいと考えている人のための求人指数でトップ2にランクインしており、約1,300万円という高い平均給与とのバランスも取れているため、技術系の仕事に就きたいと考えている人にとっては絶好の候補地と言えるでしょう。

第2位はシンガポールです。マリーナベイ・サンズやシンガポール・フライヤーなどの文化的名所で知られるこの東南アジアの都市は、調査対象となったすべての都市の中で最も求人数が多い都市です。しかし、平均給与が約850万円、平均生活費が約49万円と高いことが順位を下げています。

ロンドンは、他の都市に比べて平均給与が低く、生活費が高いこともあってポイントを下げ、8位となり、トップ5には入れませんでした。

他の都市がどのような結果になったかは、以下をご覧ください。

サイバーセキュリティ関連の求人が最も多いのはシンガポール

新卒や新しい仕事を探している求職者は、求人数の多い都市を探すことで、採用される可能性が高まります。

私たちは、IndeedとGlassdoorで公開されているサイバーセキュリティ関連の求人を分析し、最もサイバーセキュリティ関連の求人が多い都市を洗い出しました。

  1. シンガポール(10.00 求人スコア)
  2. ワシントンD.C.(7.17 求人スコア)
  3. ロンドン(5.30 求人スコア)

サイバーセキュリティ専門家の給与額が最も高いのはルクセンブルク

サイバーセキュリティは、大きく成長する可能性を秘めた活況な分野です。この業界には多くの職種がありますが、社会的に重要な役割を果たしているため、そのほとんどが高給です。 

もしあなたがこの分野に興味を持っているのであれば、高給取りの仕事に絞って選択してみてもいいかもしれません。

また、少しでも生活費を抑えたいのであれば、生活費の安い都市を考慮することも重要です。生活費が高いと、給料が上がったとしても、食費や家賃などですぐに収入が消えてしまうからです。

さまざまな場所での給与の真の価値を知ることは、給与の額を知ることと同じくらい重要です。

順位都市平均給与生活費
1ルクセンブルク、ルクセンブルク約1,600万円約39万円
2デンマーク、コペンハーゲン約1,300万円約40万円
3日本、東京約1,200万円約33万円
4スイス、ベルン約1,200万円約42万円
5アメリカ、ワシントン約1,300万円約43万円

この表が示すように、ルクセンブルグは最も平均給与が高い都市です。この都市で働けば8桁の給料を得ることができますが、生活費が高いため、他の都市に比べてお金があまり貯まらない可能性があります。

一方、サイバーセキュリティの専門家の収入が最も低い都市はナイジェリアのアブジャで、年収はわずか約26万円でした。

ブラジルはリモートワークに最適な国としてランクイン

2020年はリモートワークの年でした。私たちの多くは、電源と安定したWi-Fi環境さえあれば、世界のどこでも仕事ができることを知り、さらに重要なことに、リモートワークを導入する企業も増えました。

実際にデジタルノマドの生活をしている人は数え切れないほどいますが、一度リモートワークの快適さを知ってしまうと、オフィスに戻ることを好ましく思わないかもしれません。

ここからは、サイバーセキュリティ分野のリモートワーカーに最適な機会を提供している国トップ5を紹介します。

リモートでのサイバーセキュリティの仕事が最も多い国ランキングでは、ブラジルが1位になりました。165件のサイバーセキュリティ関連の求人のうち、22%がリモートワークの選択肢を提供していることがわかりました。白い砂浜とリオのカーニバルで有名なこの国には、コワーキングスペースが数多くあり、リモートワーカーにとっては絶好の都市と言えるでしょう。

コロンビアは、ブラジルに続いてリモートワークに適した国です。掲載されているサイバーセキュリティ関連の求人のうち21%がリモートワークの機会を提供しています。温暖な気候のため、この国で働くことを選択しやすいのですが、この国には良質なコロンビアコーヒーを味わえるカフェがたくさんあります。

3位にランクインしたのはポルトガルで、掲載されている求人のうち16%がリモートワークの機会を提案しています。ポルトガルは年間を通して300日以上の晴天に恵まれ、物価も安く、Wi-Fiの速度も十分で、世界の平均ブロードバンド速度ランキングで24位にランクインしています。

2021年に習得すべき最も需要のあるスキル

仕事の需要が高い一方で、適切な専門知識がなければ、サイバーセキュリティ分野でキャリアをスタートすることはできません。この分野で活躍するためには、必要なスキルを習得する必要があります。 

スキル不足の応募者が多数いる中、熟練した人材を見つけることは、人事担当者にとって最も難しい課題のひとつです。

そこで、企業が何を求めているのかを正確に把握するために、最も需要の高いスキルを以下に紹介します。

1. ネットワーク

ネットワークは、最も需要の高いスキルのひとつであり、サイバーセキュリティに携わる者にとって最も重要なスキルのひとつです。ネットワークの仕組みを理解することで、ネットワークを防御する方法、ルーターの仕組み、ファイアウォールのログの意味、侵入検知・防止の知識などをより深く理解することができます。 

この難しい技術を習得することで、サイバーセキュリティ分野での豊富な職種への道が開かれることになります。 

2. 脅威

脅威インテリジェンスは、2021年に2番目に需要の高いスキルとしてランクインしています。脅威を評価し、サイバー攻撃を防止または軽減できる能力は、非常に求められているのです。

脅威インテリジェンスのスキルには、創造性、分析スキル、技術的な専門知識の融合が必要であり、短期的および長期的なレポートを作成して、潜在的な脅威を軽減し、無効にするために必要な提言を示す必要があります。

ほとんどの企業では、脅威を特定するためのツールを導入していますが、適切な専門家がいなければ、これらのツールは役に立たないのです。

3. コンプライアンス

企業は、さまざまなデータプライバシー規制に精通した人材を必要としています。欧州連合のGDPRからカリフォルニア州の消費者プライバシー法まで、企業はリスクを評価し、個人データを安全に保つために必要な事務処理やセキュリティプロトコルを理解できる社員を欲しています。

4. クラウド

多くの企業がクラウドベースのインフラに移行しているため、クラウドに精通した専門家の必要性が高まっています。このような専門家は、SaaS、PaaS、IaaSなどの仮想化環境を手配、整理、監視し、データの削除、漏洩、さらには盗難からデータを守ることが求められます。

クラウドへの攻撃が増え続ける中、クラウドセキュリティへのニーズも同様に高まっています。

5. SIEM

SIEM(Security Information and Event Management)は、主に上場企業や大規模な組織で使用されているソフトウェアで、規制への準拠が日々の業務において強い要因となっています。

SIEMは、セキュリティイベント(SEM)の脅威監視、イベント相関、インシデント対応のためのログやイベントデータの分析と、セキュリティ情報管理(SIM)のログデータの報告の分析を組み合わせたものです。

SIEMプラットフォームでは、ログイン失敗やマルウェアの活動など、セキュリティ関連のインシデントやイベントに主眼を置いています。このプログラムは、セキュリティ専門家が過去のログやリアルタイムのイベントを通じて、インシデント、異常、脆弱性の記録を特定し、追跡するためにあります。

イギリスの企業でサイバーセキュリティ専門家を採用しているのは平均で1%未満

今日の社会では、サイバーセキュリティが私たちの日々の生活に大きな役割を果たしていることを理解しています。世界がオンライン空間に移行するにつれ、私たちは皆、機密データに対する攻撃を受けやすくなっています。 

サイバー犯罪の増加は、企業にも大きな影響を与えています。企業は、自社のオンラインプレゼンスと、自社だけでなく顧客の資産を守るための専門家を必要としています。

Techshielder社は、フォーチュン500にランクインしているイギリス企業を対象に、サイバーセキュリティの専門家を何人雇用しているかを調査しました。その結果、平均して従業員のわずか0.6%がサイバーセキュリティの専門家ということが明らかになりました。

下の表は、サイバーセキュリティ社員の割合が最も高いイギリス企業のまとめです。

順位会社名社員数サイバーセキュリティ社員数サイバーセキュリティ社員の割合
1インターナショナル・エアラインズ・グループ361143.88%
2BTグループ668849981.49%
3プルーデンシャルplc2336321.37%
4ロイズ・バンキング・グループ540193310.61%
5バークレイズ675063700.55%

IAG(インターナショナル・エアラインズ・グループ)は、多国籍航空会社の持ち株会社です。IAGは、ブリティッシュ・エアウェイズ、ブエリング航空、エアリンガスなどの航空会社を所有し、膨大な量の乗客データを管理しています。 

実際、2008年にブリティッシュ・エアウェイズは42万人が被害を受けた大規模な情報漏洩事件を起こし、2021年になってようやく被害者への補償に合意しました。

IAG社は361名の従業員を雇用しており、そのうち14名がサイバーセキュリティ専門家です。

BTグループのサイバーセキュリティ従業員の割合は1.49%で2位にとどまっていますが、同社は最も多くのサイバーセキュリティ専門家(998人)を雇用しており、その後に続くのがHSBCとVodafone(ボーダフォン)で、それぞれ956人と828人でした。

Dove(ダヴ)、Hellman’s(ヘルマン)、Lynx(リンクス)、PG Tips(PG ティップス)など、400以上のブランドを所有するUnilever(ユニリーバ)は最下位です。ユニリーバの従業員134,889人のうち、サイバーセキュリティのスペシャリストはわずか108人で、これは0.08%に過ぎません。

テクノロジーが私たちの生活の中で重要な役割を果たすようになっていることで、企業がサイバーセキュリティ部門を拡大する必要性が高まっています。そのために、企業に必要なサイバーセキュリティ専門家の数も急増しています。この記事で紹介した情報をもとに、あなたにとって最適な都市を見つけてみましょう。